東京から北へ数百キロ離れた街・鬼無宿。物語は、この寂れた街に流れ者がやってきたところから始まる。男の名は谺丈二（こだまじょうじ）。腕っぷしが強く、度胸も桁外れで頭も切れる丈二は、街を二分する勢力、田野倉鉱業と銀鮫興産の両者の間に入って巧みに駆け引きを繰り返す。まるで両者の抗争を煽るように……。
―遡ること15年前、日本政界の黒幕と恐れられていた政治家の隠し財産が鬼無宿で忽然と姿を消した。田野倉鉱業と銀鮫興産は、この失われた隠し財産を巡って暗闘を繰り広げていたのだ。丈二はそんな両者の対立を利用し、事件の謎と真相を暴こうとする。
黒澤明監督の名作『用心棒』を題材に、大胆な解釈で現代風にアレンジされた作品。